網膜静脈分枝閉塞症とは

網膜静脈分枝閉塞症とは文字通り網膜の静脈が詰まることで生じる病気です。ではどの様な症状が生じるかと言うと、飛蚊症や視力低下、時には歪んで物が見えたりすることがあります。

網膜静脈閉塞症には大きく分けて、2種類あります。1つは視神経内の網膜静脈が閉塞するタイプと、もう1つは視神経を通り超して網膜内で閉塞するタイプがあります。視神経内で閉塞するタイプを網膜中心静脈閉塞症(CRVO:Central Retinal Vein Occlusion)と呼び、網膜内で閉塞するタイプを網膜静脈分枝閉塞症(BRVO:Branch Retinal Vein Occlusion)と呼んでいます。網膜静脈分枝閉塞症は、よく植物の木で例えられるのですが、網膜中心静脈閉塞症は木の幹の部分が、網膜静脈分枝閉塞症は木の枝の部分が障害されるとイメージを持ってもらえると分かりやすいと思います。

網膜静脈分枝閉塞症

(網膜静脈閉塞症ドットコムより転用)

ではこの網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症ではどの様な違いがあるか、目の中の写真(眼底写真)を見ながら説明します。まず網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症の写真を見比べてみます。

網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症ではどの様な違いがあるか

左端が正常眼底写真です。左側の白く丸い部分(赤丸部分)が視神経です。一方、真ん中の写真は網膜中心静脈閉塞症の患者さんの眼底写真です。視神経内の網膜静脈からの出血で、出血が全体的に広範囲に及んでいることが分かります。最後に右側の写真ですが、この写真が網膜静脈分枝閉塞症の写真ですが、上方部に部分的な出血を認めております。
網膜中心静脈閉塞症、網膜分枝閉塞症の違いは、網膜中心静脈は所謂木の幹の部分の障害なので全体的に広範囲の出血や重篤な視力障害や変視(歪んで見えること)を呈することが多く、網膜静脈分枝閉塞症は木の枝の部分の障害ですので部分的な出血や視力障害や変視が軽度なことが多いです。尚、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症は共に糖尿病網膜症のところで説明したように、網膜浮腫(黄斑浮腫)や新生血管が生じる事が知られております。尚、網膜浮腫や新生血管の詳細は糖尿病網膜症のページで記載しているのでこの分野では割愛します。

網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症の原因

ではこの網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症は何故生じるのでしょうか。一般的にこれらの病気の原因は高血圧が関与していることが多いことが知られております。その他に全身性エリテマトーデスなどの膠原病による網膜血管炎が生じた時にも稀に生じることが知られております。

では続いて、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症の治療についてですが、どちらの疾患も網膜光凝固術、抗VEGF製剤の硝子体内注射、ステロイド注射、更にこれらの治療が効かない場合には硝子体手術を行う場合があります。網膜光凝固術、抗VEGF製剤に関しては糖尿病網膜症のところに詳細が記載されておりますのでそちらを参考にしてください。尚、眼科的な治療以外に、先程述べたように高血圧症が原因になっていることも大変多く、内科での高血圧治療も行いましょう。

よくあるご質問とその回答

Q1:網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症は治りますか?
A1:一般的に両疾患とも治ります。しかしながら、完治するまで数年かかることが多く、その間に不可逆的な視力低下が生じることがあります。先程も述べたように、網膜中心静脈閉塞症の方が大幅な視力低下を招くことが多いのが現状です。

Q2:何度も抗VEGF製剤の硝子体内注射を打っています。何回ぐらい打つのですか?
A2:通常の場合ですと抗VEGF製剤は黄斑浮腫が治るまで繰り返し投与します。決まった回数制限もありませんが、一般的には2年程度で軽快し必要がなくなることが多いです。

Q3:日常生活で気をつけることはありますか?
A3:先程の説明にも書いていますが高血圧が原因で生じることが多いので、減塩を行い、血圧の管理をしっかり行うことが再発予防として重要だと考えます。

Q4:この病気で視力低下をしましたが戻りますか?
A4:個人差がかなりあります。一般的に網膜浮腫(黄斑浮腫)による視力低下の場合では、視力低下の期間が短ければ短いほど、早急に治療を行うことによって改善することが多いです。